たっちーの労働問題講座②「解雇の金銭解決制度」ってなに?

再就職支援金とセットでの解雇― 政権が変わったとたん、政府の産業競争力会議でこのような提案がされました。これが、最近いわれている解雇の金銭解決制度です。こんなことが実現されたらカネを払えばどんな解雇でもOKになってしまう、ということで批判が広がりつつあったところ、最近、安倍首相は国会で「金銭によって解決をしていく、解雇を自由化していく考えはない」などと発言したと報じられていました。
どうやら火消しに回っているようです。しかし、安心してはいけません。なぜなら、解雇の金銭解決制度は10年前から、いく度となく形を変え浮上しては消えてきた亡霊のようなものだからです。
 解雇の金銭解決制度が初めて公の場で議論されたのは、2003年の労働基準法改正のとき。法律案について議論する学者・使用者団体・労働組合からなる労働政策審議会で解雇の金銭解決の導入に向けて、激しいやり取りが行われました。
 その結果、労使双方からの金銭解決の申し出を認める内容で「補償金の額は、平均賃金の○日分とするものとすること」と金額のみを空欄とする建議がつくられます。建議とはこういう内容で法律案をつくってください、といういわば法律案の設計図のようなもの。しかし、最終的にはこの部分は削除された法案がつくられます。空欄のある建議がまとめられたことも、建議に盛り込まれていた項目が削除されたこともきわめて異例の出来事でした。
 こうしてまとめられた改正労働基準法は国会で成立しますが、そのときの「附帯決議」で解雇の金銭解決について検討するように示されました。「附帯決議」とは「今回の改正はこれでいいですが、今後は検討をしてください」と約束するもの。この附帯決議を受けて厚生労働省が学者を招集して開催したのが、現在の労働契約法の立法にかかわった「労働契約法制の在り方に関する研究会」です。
 研究会では議論を重ね2005年9月に報告書をまとめます。その中には当然、解雇の金銭解決について言及されていました。この報告書をもとにして、労働契約法の立法が議論されていきましたが、このときも法案に盛り込まれることなく消えていきます。そんな解雇の金銭解決制度が、またぞろ復活してきたというのが現在の状況です。
 どんな屁理屈をつけても、解雇の金銭解決制度は使用者が解雇をやりやすくするための制度で、働く者にメリットのない制度であることは間違いありません。このような使用者側のあまりにも一方的な議論によって現れては消えを繰り返し、さらには政権が変わったとたんに「待ってました!」とばかりに、再登場する現状に憤りを禁じえません。
 今後、東京ユニオンだけでなく、全国ユニオンとしても、こうした政府の動きを取り上げて積極的に宣伝行動を展開していくことも予定しています。ご注目下さい。
(東京ユニオン機関紙「GU」4月号より転載)
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