生活保護パッシングに想う

お笑いタレントの母親が生活保護費を受け取っていた「問題」について、ネットやメディアなどでさまざまな意見が出されています。
ここ数年で、労働問題と貧困問題は連動するようにはなっていますが、やはり問題は別物。これまで何度か生活保護受給の手伝いをしたことはありますが、私は生活保護を中心にした貧困問題に詳しいわけでもありません。もちろん、生活保護費の不正受給を容認・承認するつもりはありません。しかし、それでも今回の「問題」に対して3つの「?」を感じています。
そのひとつが、親が子を扶養・援助するのが当たり前、子が親を扶養・援助するのも当たり前という感覚が前提にあるように思えたこと。本当に「当たり前」なのでしょうか? 
以前、生活保護を躊躇する人に理由を尋ねたところ「親に自分の居場所を知られたくない」と答えました。虐待する親から逃げるが、見つかるたびに連れ戻され、虐待されると語っていました。
この方の親は、おそらく「親が子を扶養・援助するのは当たり前」と思っているのではないでしょうか。しかし、それゆえにこの人は生活保護の申請を躊躇することになっているのです。
ふたつ目は、生活保護を受給する「単位」を無視していること。ある週刊誌では、タレントが年収を公開しないことを「不透明」と指摘していましたが、生活保護の受給単位は「世帯」であるはずです。「問題」になっているお笑いタレントと母親は、別の世帯だったのではないでしょうか。であるならば、息子であるお笑いタレントの収入に関わらず、母親の世帯が困窮すれば生活保護を受給することに問題はないはずです。
核家族化が進む日本で、別々の世帯で生活する親子が、生活を別々に考えることができない、許されないというのは現実的ではないでしょう(もちろん、世帯だけ分けて生活空間を共有している場合は含みません)。
三つ目は、「不正な受給」が強調されていること。私が直接知っている生活保護を受けている人、受けていた人は必ずしも多くはありませんが、いわゆる嬉々として受給している人はいません。
現在50歳手前で二児の父として公私ともに忙しくしている友人は、20代前半でアルコール依存症になり、1年間ほど生活保護を受給していました。彼は、窓口に行くたびに「あんたほど若いのに、生活保護を受けているヤツなんていない」と受給している間、ずっと嫌味を言われ続けたそうです。
同じように、アルコール依存症になり生活保護を受給していた人もいましたが、中には再飲酒して行方が分からなくなった人も少なくないそうです。では、私の友人は「正当な受給」で、行方が分からなくなった人は「不正な受給」でしょうか。
将来のことなど誰にもかわりません。受給をさせるかどうかは「現時点でのその人の状況」以外の判断材料はないはずです。同時に「私は、生活保護を受けるようなことにはならない」と断言できる根拠も理由も誰にもありません。
人の数だけ「事情」があって、それゆえに生活が困難になることもあるでしょう。そのときに、生活を支えるのが生活保護であるはずです。そうした「事情」を無視しかねないようなパッシングに、なんだか異様な違和感を持ちました。
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