「M字型」と「絶叫マシン型」のグラフ

日本人材派遣協会など人材サービス産業4団体は、このほど人材サービス産業の役割について研究報告をまとめ、今後取り組むべき5つのテーマを盛り込んだ共同宣言を発表しました。
さまざまなデータをもとに、現状を分析している中で私が「?」と思ったのが「派遣浸透率」というもの。これは雇用者に占める派遣労働者の割合をいうそうです。
女性の就業率は、依然として30 代が底となる「M字カーブ」。しかし、派遣では女性は30 代が最も高くなっており、報告では「新たな就業機会が開発されているといえる」と分析しています。
派遣就業率のグラフをみると、たしかに30代のしかも前半がピーク。急激に上昇して、その後は急激に降下する、まさに「絶叫マシン型」のグラフになっています。
派遣で働く組合員から、よく「35歳を過ぎると急激に仕事の紹介が減る」と聞いていましたが、このデータはまさにこうした派遣スタッフの言葉を裏付けたものといえるでしょう。
M字にすらならない絶叫マシン型のグラフを示して「派遣浸透率が高い」「新たな就業機会が開発されている」と胸を張る人たちのセンスを疑うのは私だけでしょうか。個人的にはかなり驚きました。
雇用対策法が改正され、労働者の募集・採用にあたって、年齢の制限を設けることが禁止されています。また、男女雇用機会均等法が改正され、募集・採用に当たって性別を要件にすることも禁止されています。これは、派遣でも有料職業紹介でも同様です。
このため、原則的には性別や年齢は募集・採用の要件にはできないことになっています。「原則的には…」といいましたが、決して少ないとも言えない例外もあります。
さらに、企業側には採用の自由が必要以上に幅広く保障されています。このため、年齢・性別が規制されているのは機会としての「募集」のみで、結果としての「採用」には規制がかかっていないのが現状です。
しかも、派遣会社は派遣が成立しなければ、料金が発生しないわけですから、ときとして必要以上に細やかに派遣先のニーズを聞く必要もあるでしょう。こうしたことが、就業率のグラフを絶叫マシン型にしているのかもしれません。
では、日本には採用に関する規制はまったくないのでしょうか。唯一、障がい者雇用に関しては結果としての「採用」に規制がかかっています。
これは、雇用する労働者数に応じて、一定割合の障がい者を雇用することが義務付けられ、違反した企業には指導を行い、その指導にも従わない場合は企業名公表が行われるというものです。
「派遣浸透率」に胸を張る分析をみると、年齢や性別に関しても、そろそろこの障がい者雇用に類する規制を検討すべきときなのかもしれないという気がしています。
なお、今回は冒頭の「共同宣言」そのものに対して言及はしていません。それは、また別の機会に譲りたいと思います。
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