禄を食む

「○○社の禄を食んだものとして、わかってほしい」
以前、団体交渉に出席した人事担当者がこう発言しました。
この会社は、某大手企業の定年退職者の受け皿ともなっている子会社。
発言した人事担当者も親会社からの出向者だったので「『禄を食む』ってずいぶんと芝居がかった表現だけど、大手企業の人はこんな言葉を普通に使うのかな?」などと思っていました。
ところが、先日、高杉良氏の『管理職の本分』を読んだときも、この「禄を食む」という表現が出てきました。もしかしたら、いわゆる大手企業で働いている方は日常的にこうした表現を使っているのかもしれません。
交渉内容は、親会社で定年退職になった後に子会社であるこの会社で働いていた高齢者の雇止め。人事担当者の対応は、どう考えても「禄を食んだもの」に対するものとは思えませんでした。むしろ「禄を食んだものとして、これくらいの無理を聞いてくれ」という意味で使われたという印象です。
辞書によると「」とは「官に仕える者に下付される給与。律令制では(あしぎぬ)・綿・布・鍬(くわ)・穀物などが身分に応じて与えられたが、後世は知行地・扶持米(ふちまい)・給金などに変わった。給与。給金。扶持」とあるほか、「当座の褒美・贈り物などとして与えられるもの。祝儀。引き出物」となっています。
企業とりわけ大企業にとって会社は「官」で、働く者は「官に仕える者」であり、賃金は褒美や贈り物あるいは祝儀や引き出物であるという意識が、どこかにあるのかもしれません。
一方、働いている人の中には否定的な意味ばかりではなく、「仕えている」ことに対する誇り・矜持をもっていることもあります。ただし、それには働く人が誇り・矜持を持てるのは、仕えることに値する企業であることが必要です。今の日本にそんな企業がいくつあるのか…。
先の『管理職の本分』でも、主人公は禄を食んでいた大手生保会社を退職後、外資系企業などを転々としていました。今や、働く人が誇り・矜持が持てる企業の存在は「小説より奇なり」なのかもしれません。
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